けんかをやめてー、二人を止めて…
はじめて聴いたときは私が思春期だった、ということもあり、いい曲調だと思いつつ反発もありました。つまり、恋愛において誠実、真面目という面やモラル的には真逆ですからね。
しかし、ザ・ベストテンやトップ・テン(当時の歌番組)では常にランクインされていて、反発を覚えながらも口ずさんだり、友だちと「ひどい人だね!」などと言いながら話題にするのでした。
つまり、この曲が支持され、今も歌い継がれているのは、アンビバレント(両極性)、光のプリズムのような屈折性が人の心にあるからではないでしょうか。
私たちは、この歌詞のような恋愛をしたら、普通は人にドン引きされ、100%責められるでしょう。
しかし、古今東西、ドンファンと呼ばれる人やアラン・ドロンみたいなモテモテの人、源氏物語の光源氏など、心が移り気でモテるひと、ってたくさんいますよね。
動物界でももてるライオンは、メスからいろいろ貢いでもらうそうです。自分はほぼ動かず!
つまり、私たちは現代社会のモラルあるひととして生きているから(現代人)このような態度をけしからん、と思うのであって、他の時代、他の人種ならそうとは言えないのかもしれません。
現に、ジョニーディップやジャスティンビーバーが色んな浮き名を流しても、世間は気にしませんし。
(当時者どうしは泥沼化していても!)
そこへ、この曲。しかも小悪魔要素のない、純アイドル、河合奈保子さんが歌う、というギャップ。世間は非難ゴーゴーするのは間違いない、と竹内まりやさんは考えたでしょうね。
しかし、みんな心に人を同時に愛してしまったり(又は、同時に告白されたり、好きになってしまったり。)、気まぐれで愛したり、、。そして、その狭間で苦しんだり。竹内まりやさんの曲「駅」、「シングルアゲイン」、「告白」には、こういった内容が多いのです。
私たちは、理性や現代人としてのモラルのみで生きているわけではないのです。
その揺れる気持ちを表現した河合奈保子さん、それをプロデュースした(はじめてアーティストに楽曲提供したそうです)竹内まりやさんは最強のタッグを組み、最高の歌を作ったと思います。
人には、一度くらい他のひとには言えない秘密や恋愛があるでしょう。
それが今でもこの歌が歌われる、あるいは惹かれてしまう秘密なのかもしれません。