
3週間ばかりまえに、ガブリエル・ガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」を本屋さんで買い求めた。
何しろ、「百年の孤独」に比べると三分の一くらいの、驚きの薄さの文庫本である。
この本は、みつみつに練られた群像劇の殺人事件だって。面白そう!!
youtomejiteki1000sai.hatenadiary.com
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「百年の孤独」を読破(?)してるから、これくらいはドンとこい!と思った。
そうそう、前作ではアルカディオとアウレリャノがいっぱい出てきたなあ。
と、思ったら今回もやっぱり登場人物は多いのだった。
人物相関図を作ろうかと思ったが、面倒だったので
「何回もページをまえに戻って読み返す!」という力技を使った。
読む間隔を空けると、あっという間に「なんのことやら?」と思って前にもどるので、
なかなかの時間がかかった。やっぱり相関図は必要だったかもなあ。
さて、このお話は
本の帯に書いてあるように
「花嫁を汚した男の殺害予告、だが真の犯人は誰か?」という内容だ。
具体的には、コロンビアのサンディアゴ・ナサルという、若干21歳の、裕福で成功した男性が2月のある朝、結婚式当日を迎える。
しかし、その前の日に婚礼のあったバヤルド・サン・ロマンという外国人の鉄道技師の男性とアンヘラ・ビカリオという町の美しい娘が、結婚して数時間で破談となってしまった。
なぜなら、アンヘラが生娘でない、ということが分かったからだ。そして、彼女は自分の家族に責められ、その相手をつぶやいた。「(相手は)サンディアゴ・ナサルなのよ」と。
これに腹をたてたのが、彼女の双子の兄弟パブロ・ビカリオとペデロ・ビカリオで、二人は姉を汚した相手を復讐する予告をするのだ。
この作品は主にたった数日の出来事を描いていて、しかも婚礼話がふたつもあるから、すこしややこしいが、私たちも殺人の目撃者になったような気がする。
ものすごく濃密にこの町の民衆の熱狂や、婚礼のラム酒や料理のふるまい、家族の濃いつながりなどを描いており、ここら辺がガルシア・マルケスぽいなあ、と思った。
まとめ
1.金持ち、成金、アラブ人というキーワード
この本を読むと、「太陽がいっぱい」や「悲しみよこんにちは」、「異邦人」を思い出す。夏の暑さがひとを狂わせるのかもしれない。
ただし、コロンビアは赤道にあるので年中、暑いしカラカラに乾いてるんだそう。(乾季はとくにそうらしい)
この結婚式の話が2月なのに暑いのはそのせいだ。
そして、さんさんと太陽が照り付けてかっこいい麻の白いスーツを身に付けていて、豪邸から出てくるハンサムなサンティエゴ・ナサールは結婚するにはあまりに若すぎる。
彼の父は一代目のアラブ人支配層という。彼女の母親プラシダ・リネロは政略結婚的な感じで結婚したらしい。だから、彼女にとっては、ナサールは
「あの子はわたしのいのちだった」というのは確かだと思う。ここではプラシダ・リネロは裕福だがとても孤独だ。
2.殺人予告があっても阻止できなかった謎
民衆は、殺人があることを知って船着き場にあつまっていた。
母親のプラシダ・リネロも知らなかったし、本人も本気にしていなかった。
なんでこんなことが起きてしまったんだろうか。
3.物語最後の殺される直前までの流れ
いままであちこちに飛んでいた物語がひとつのストリームになり、一気に駆け抜ける。かなりのスピード感があり、圧巻だ!!
個人的な感想=「心に残ったこと」
これは、サンディエゴ・ナサールがアラブ人だから殺されたわけではないと思う。
しかし、この町の、彼や彼の家族へのある種の壁がこの事件を引きおこし、誰もが本気になって彼を助けようとしたりしないから、なんだか緩慢な感じで殺人計画は進んでしまう。もしかして、彼にほんとうの友達がいたり、または町の人たちとの温かい交流ががあればこうはならなかったのでは?
あとは、彼および彼の父が女にだらしない。だから、彼らが町の娘を手籠めにすることに恨みを抱くものは大勢いたに違いない。(今回のアンヘラ・ビブリオに対しての真相は不明)
冒頭から、サンディエゴ・ナサールは、賄い婦の娘にも手を出そうとしたりすることから、ちょっと被害者のサンディエゴに対して100%同情できなくなるんだよなあ。
最後に、バヤルド・サン・ロマンとの結婚に破れたアンヘラ・ビカリオが、実家に帰って家族になじられたりしたが、その23年後の現在、りんとした自分をもった女性になり、結婚を強要した母とも決別したのが良かった。
PS
サンディエゴが死んだときの描写はスゴイ。武士の映画のスローモーションかな、と思った。
おわり
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