
「コーラスライン」というミュージカルの映画は、大げさかもしれないけど、私の青春の一部ともいえる。

先日、品川のシアターHに、ロンドンで大好評を博した「コーラスライン」という舞台を見に行った。
わたしは1985年に日本で映画が公開されてから、舞台は一度も観たことがなかった。その後、劇団四季での公演やブロードウェイの来日もあったが、あまり気に留めていなかった。
けれども、
最近、映画「国宝」からの影響で歌舞伎熱が高まり、久しぶりに歌舞伎を見る機会が増えた。(とはいっても2回ほど)
そうすると、やはり伝統芸能は面白いなあ、と思うようになった。もちろん、演目や出演者にもよるのだが、「俊寛」なんかは「現代のロビンクルーソー」などと評する舞台関係者もいて、話の内容は観ててつらいが、一方でかなり面白い。
話が逸れたが、そのためにスマホの「おすすめ広告」にミュージカルのお知らせも入るようになったのだ!
そこからの「コーラスライン」来日のお知らせをみて、私は、自分の中のコーラスラインへの熱い思いがふつふつとたぎってきたのだ。映画はDVDで何回も観たけど、やっぱり「生の舞台」を見たい!!
そして、「今行かなくてどうする!」「パート代でチケット買えるぞ!」「いや、もはや小遣いはたいてでも行く!」
という心の声に従うことにした。
当日、劇場につくとパンフレットやTシャツなどのグッズが売っており、本日のキャストの紹介、そして「天海祐希も観た!!」などの文字も踊るポスターも張っており、とても期待が高まる。最後は出演者アダム・クーパーのトークショーまである、と書いていてラッキーすぎる。
700人ほどしか入らないという劇場内では、スモークがたかれ、NYの街角にいるような車のクラクションやざわめきが聞こえており、自分がNYに行った20代の頃に戻ったような気がした。
「コーラスライン」という映画は、主役の後ろで踊る、まさに「ライン」からはみだしてはならないダンサーたちの物語である。
そこで、なんとか役を勝ち取りたい、というオーディションをする場がこの舞台なのだが、いろんな経歴やいろんなルーツの方がいて、ザック(映画ではマイケル・ダグラスだった)という演出家がその人たちを無情にも選別せねばならない。ザックはみんなに「君たちのことを話してほしい」といって自己紹介を求めて、彼らはダンスへの情熱や人生を語り始める・・・
その中には、
自分がゲイだと気付いた人、スポーツ万能だけど背が伸びなかった人、子どものころ可愛がられなかった人、家庭不和の人、以前は主役を張っていたが今はなかなか役が付かないキャシーや、ちょっと年上の色っぽいお姉さんのシーラ、音痴だけどダンスが抜群の女の子とその夫、プエルトリコ出身の「I feel nothinng]と歌う人、中国系の「わたしは得してるよ!15歳の役もやるもの」と子供っぽく見られても前向きなコニー、中野加奈子さんの演じるちょっとおっちょこちょいのジュディー、小林美亜さんの演じる美しくバレエへの愛を歌うマギー(歌:at the ballet)、整形して胸もおしりもぷりぷりしたら役が付いた人、「大きくなったら可愛くなるよ」といわれたのにそうでもない女の子のビビ、などなどがいた。
この映画を初めて見たとき、わたしは、ゲイや離婚や整形についてもよく知らず、すごい世界だなあと思った。でも、おんなじ年頃の子の気持ち、大人になる前のワクワク感や思春期ならではの心配事(歌:Hallo thirteen)がいろいろあったことなども、この舞台を観て思い出し胸がキュッとした。
なんというか、この俳優たちが舞台上で「全力で」その人物になりきり、私たちの目の前で体現してくれるからこそ、私たちは感動するのだろうな、、
たとえ舞台というのが「虚構」であり、「大いなる嘘」だとしても、それを全力でやってくれると私たちにこうも突き刺さるのか、としみじみ思った。
もちろん、わたしはあんなしんどい思春期や中学生なんかには二度と戻りたくないけど、あのとき思ったこととか感じたことは今に生きている感じがする。
ザックの恋人だったキャシーはとっても強い女性で、映画ではもうちょいふっくらしていた女優さんが演じていたけど、今回のキャシー役のホリー・ジェイムズは、けっこう細身できつめでスタイル抜群。でも、役を得たくて、過去の栄光を捨てこのオーディションに応募してきた役を熱演している。赤い衣装が彼女の意思を現していているかのようで、ダンスも前向きで情熱的だ。
また、今回の舞台は、演出も映画とは全然違う。時折、アダム・クーパー演じるザックが私たちの真横の通路を横切っていくのもドキドキしてよかったなあ。演出家だから、観客席の後ろから歩いてきたりするのだ。そして、フィナーレの「one」では、舞台で花火が上がり、きらびやかな金色の衣装を身に着けた俳優さんが、誇らしげにダイナミックに歌を歌い、ラインダンスを踊る様子にこちらもむせび泣きそうになった。なんだかもう、
「最高じゃん!!私の人生も最高だな!」という境地。
(もはや、出演者と自分と、自分の過去が一体化してます)
このメンバーでのこの舞台はもう見られないが、また観てみたいなあ。
いや、自分がロンドン又はニューヨークに行くしかないのか!?
今回、「コーラスライン」がずっと愛されている理由がわかる気がした。
最後にアダム・クーパーのインタビューの場が設けられたけど、
その質問の時に「私はいま学生ですが進路を決めかねています。クーパーさんはいつそれを決めましたか?」とあった。それに対してアダム・クーパーは「今も探してる!」というナイスな答えで返す。そして、小さいころからダンスに親しみ、その後バレエを習い、ロンドンのロイヤルバレエでプリンシパルまでバレエを究めたあとも、ミュージカルや舞台などにも進出し、自分の幅を広げて新しいことをやっている、というようなこと(あやふやですみません、、)を話していた。
現在進行形の彼と、新たな道を切り開こうともがいている学生さん!!なんてすばらしいショットなのか、と思った。
そうだよね、だからアダム・クーパーは、3年前に、日本人だらけのなかで天海祐希を相手にシェイクスピアの「レディ・マクベス」を日本で上演したんだものね。ちなみに彼はコーラスラインの「キャシー」のような、又は「天海祐希」のような強い女性はお好きなようです!!