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ケアできる人はカッコいい!?「親切で世界を救えるか」を読んでみた

こちらはサブタイトルに「ぼんやり者のケア・カルチャー入門」と書いてあり、堀越英美さんという文筆家が書いている。この本はなぜか「光る君へ」コーナーに置いており、不思議に思ったが、どうやら彼女は「紫式部は今日もゆううつ~令和版紫式部日記」「エモい古語辞典」など出版してるからこのコーナーにあったというわけだ。

 

変わった題名ですよね、

「親切で世界を救えるか?」って。


 

うむむ、しんせつばかりでは「正直者はバカをみる」みたくなってしまうけど、

 

私の周りの商店街とか近所界隈では「親切にする」ほうが得をする、というかいい感じの「潤滑油」になっている気がする。でも、こんなんじゃ「世界を救う」ってほどでもないし、、、

 

というわけでこの本を読んでみた。

 

 

最近、「ケア理論」という分野のすそ野が広がっているみたいだ。

保育や介護、看護の分野ではよく聞く言葉かもしれないが、一般的に広がってきたらしい。

 

これについて、彼女は「鬼滅の刃」を例に挙げている。

この漫画の(アニメ)なかでは、胡蝶しのぶが大人気なんだそうだ。

えー、ねずことか炭次郎ではないんだ!(一見さんみたいなわたし。。)

彼女は長女ではないが「長女特性」をもち、傷ついた仲間を診療所で治したり、後輩を育てて行ったりする。しかし、いわゆるマネージャーという形ではなく、叱咤激励して、ときには敵に対してははっきりものをいう。

 

 

そして、時代は「ケアできる人がかっこいい!」という時代になってきた、という。

なぜなら、ひと昔前までは、仮面ライダーやレンジャー系のものは「敵を倒して役目は終わり!弱きをまもるのは外でのはなしであって、家の中ではあいかわらずお母さんやお姉さんに頼ってる」というものであって、

「過去レンジャー」は家の中のケアや助け合いにほぼ参加していなかったというわけだ。(最近のレンジャー物は、全然みてないからわからないんですが)

 

鬼滅の刃では、主役の炭次郎もちゃんと家の重労働をして家族のケアをしながら、鬼成敗にもたちむかう。

いっぽう、鬼たちはいつもいつも「一方的なケア」を望み、死んでいくときも「おかあさ~~ん(泣)」などと従来の日本の男性のようなマザコンぶりを発揮している。

 

そして、炭次郎や胡蝶しのぶの人気があるのは、

その仲間を

おもいやり、「家のこと(ケア)」もしっかりやっていくからだというのだ。

私はこの見方は目からうろこだった。

 

 

 

また、筆者は従来の

30年前くらいの素人いじり、弱いものいじり、女芸人ぶさいくいじり、などに対して、今は違う芸が出てきてだいぶ変わったといっている。

コンプライアンス、というものが世の中に広がったせいもあるが、いじめ(=暴力)の根源となるような「いじり」が排除されてきて、「いじり」自体が幼稚なもの、と認識されてきたのだ。

 

つまり、SNSなどでは「冷笑」というのが死語になっていて、昭和のときのような笑いがいまは時代遅れになった。

新しい価値観になり、テレビはつまらなくなった、というが、わたしはそもそも女芸人いじりとか暴力を伴う笑いは嫌いだったからほんとに良かった、と思う。

 

 

 

 

つぎにASD(自閉スペクトラム)について書いてある。

 

筆者のお子さんのひとりはASDなのだという。

 

でも、彼女は年齢より幼いせいかいつもお母さんに話しかけ、ついには新しい仲間である「アレクサ」にも話し続けてて「わかりません、、」「聞き取れませんでした」などと言われたりしてもめげずに毎日、様々な質問をなげかける。

 

そんなある日、筆者は子どものための演劇(コントあり)を観に行った。ここでは、「こどもたちは静かにみるように!」という暗黙の了解があったために、芝居にコントがちりばめられても

「しーーーーーん」としたまま劇が進行している。ものすごい重苦しい空気。。そんなとき娘ちゃんが綺羅星のごとく登場したのだ!

「わー――!!」「楽しいね!」と隣の子にもはなしかけ、まったく空気を読まない彼女の行動が周りをかえていく。

最後はみんなたのしく、劇を楽しみ、大好評で幕をとじたという。

 

 

これはほんとにこの娘ちゃんの特性がいい方向にいったのだろう、と筆者は述べている。わたしも、こんなに困難を打破してくれるなんて、なんて素敵だろうとおもう。

 

 

この項にかんして、筆者はNetflix「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」についても触れている。わたしも途中まで見たが、彼女(ウ・ヨンウ)はASDという特性があるため、新しいことに馴染むのは難しい。ところが大好きなクジラの話と専門の法学の話になると、堂々とした態度となり雄弁になるから面白い。

そして、ソウル大学を首席で卒業した彼女は就職活動で難儀したが、ある大手法律事務所に採用される。最初は同僚も上司も、彼女をあまり戦力にならない「変わったひと」とみていたが、記憶力が優秀だけでなく、「ひらめき」や「被告への共感力」もすごいので、みんなすこしづつ彼女に寄り添うようになる。

彼女ができないことに関してはフォローにまわって、結果的にいいチームになっていくので、こちらもみてて嬉しくなってくる。

 

 

 

つまりは、

 

小さな親切、またはその人ができる範囲でのケアをおこなって「身近なひと」や「見ず知らずのひと」を助けたり、春風のような心もち(ウ・ヨンウ弁護士は天才肌より)で「職場の同僚」を助けたりすることが、ひいては世界を平和にするということかな。

ということは、「小さな親切」はどんどんやるべきだなあ。「大きな親切」は下ごころありそうだから、警戒されてしまうだろうし。

 

 

この本をときどき、読み返そうとおもう。あと、夫とこどもにもぜひ読んでほしいんだよね、、

しばらく、リビングに置いておこう。

 


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終わり

 

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