続けよう!サニらいと、の楽日記

サニらいとの楽日記

「虹のオルゴール」橋本治さんの映画愛と人間愛

  橋本治さんが2019年1月29日に、70歳で亡くなり、早5年です。

 

肺炎が原因のようですが、それまで2回も脳梗塞で倒れたりしていたそうです。

 

ほんとに「桃尻語訳 枕草子」「窯変源氏物語」「そしてみんなバカになった」「たとえ世界が終わってもその先の日本を生きる君たちへ」など、文学からエッセイまで、辛口で日本の将来を憂い、わたしたちを鼓舞してくれた稀有な方です。

 

 

わたしは、橋本さんの「虹のオルゴオル」(本は廃番)という映画に関するエッセイが大好きで、1991年に発行された本ですが未だに私にとって新鮮で、何度も読み返しています。

美しい女優さんへの賛美だけではないのが肝で、橋本治さんのおねえ的なちょっと意地悪的な書き方が、往年の大女優の見方を一変させて、生き生きと見せてくれるのです。

 

例えばビビアンリー。彼女の美しいがヒステリーな性質、情熱的な性質に触れ、「彼女は、性質が『両極端の女』を演じると鬼気迫った演技をするのだ」と話しています。すなわち、彼女がオスカーをとった「風と共に去りぬ」のスカーレットと、「欲望という名の電車」の主人公がまさにそう。

 

オードリーヘプバーンも、実は結構なおじさんとプリンセスという虚構のような物語の中で輝くといっています。確かに「ローマの休日」「マイフェアレディ」「麗しのサブリナ」などがそう。「パーティに出るのってはじめて」的な夢見る少女を演じるのにふさわしいのがオードリーというのです。この中で橋本氏は、「中年の男は待ってくれる。しかし、若い現実の男は待ってくれない」と言っており、オードリーに陶酔し若かったわたしは愕然としました。本当にそのとおり。だからロマンチックな展開になるのか、と。

 

     彼女は、そのあと「暗くなるまで待って」など真に迫る盲目の女性のサスペンスの映画で素晴らしい、迫真の演技を披露しています。

 

   

    バーバラストライザンドに関しては「前の方(美しい方)とは趣が違うけど・・・」と軽ーくパンチを食らわしておいて、けっきょくは「ファニーガール」のすばらしさ、「パレードに雨を降らせないで!」の歌唱力のすばらしさとその歌の意味、「スター誕生」でのスター性など彼女をたたえています。

    彼女はけっきょく、最初っから素晴らしい「特別な女の子なんだ」。そう言って欲しかったんですね、彼氏には。彼氏は結局バーバラが美しかろうがそうでなかろうが愛していたのですから。

 

    キャサリン・ヘプバーンのこともよく書かれています。欧米ではヘプバーンというと、こちらのほうが有名だとか。生まれた時から裕福で物おじせず、リベラルな両親に育てられたお嬢様で自分が美人で気が強く、裕福なことを隠そうともしない。でも、歯にもの着せず話すのでハリウッドのスタッフにも民衆からも愛されていました!スペンサートレイシーと長く恋人でしたが、奥さんのいる人だったから家庭は壊さず。。男勝りで、パンツスーツをいち早く着込み、どんどん監督や世間にも意見をいい、正々堂々生きた人。若いころは「若草物語」のジョーの役、「フィラデルフィル物語」、「アフリカの女王」「赤ちゃん教育」「勝利の朝」などもヒット。「招かれざる客」では、黒人の恋人との結婚話がテーマ。ほかにヘンリーフォンダ、ジェーンフオンダ親子との競演「黄昏」や「冬のライオン」など。

 

    でも、私の中のキャサリン・ヘプバーン映画NO.1はなんといっても「旅情」(原題 Summertime)です!!

 

もう、運動神経抜群なのを見せつける、運河でのボッチャンシーンとか、ガイド役のちゃっかり男の子とのうまい具合のからみとか、イタリア人にメロメロになって

ちょっと夢心地になってる様子とか、、はあーーまた、映画を観たくなってきた。

 

 イタリアのベネチアサンマルコ広場にいったときは、「ここが、あのヘプバーンが撮影し、歩いた土地なんだなあ、、」とほんとに感動しました。

わたしはオールドミス(いまでいうアラフォーか、、全然恋愛市場にいてて大丈夫と思いますけど)彼女が、旅先で素敵な男の人と恋に落ちる、という夢のような話が好きでした。彼女が、現実を突きつけられてしまうという悲しい結末も含めて、、。

 

あ、そうそう、彼女がベネツィアで買った「赤いゴブレット」、私もお土産屋さんで当然のように買って帰りました!!彼女が「アリべデールテ!」(さようなら)と、列車で手を振るシーンを思い出しながら、、、。

 

    ほかに「グレンミラー物語」のジューンアリソンがとてもしっかりして現実的な女の子だが、自分の好きな主人公の目を覚ましてくれた、と書いてあります。人生にとって大事なことを映画はおしえてくれるが、その指南は橋本さんだったりします。

 

   この本を読んで彼はよくぞ、こんなに女性と男性の気持ちがわかったりするものだと感心します。しかし、こうしてみると彼はトータルで人間が好き、ということが言えるかもしれない。そして、若い人に「これはちがうぞ」ということをチクリと伝えているような気もします。

 

橋本氏はもうこの世にいませんが、彼の遺した本を読んで、この世知辛い、でも素晴らしい世の中を胸を張って堂々と生き抜いていきたいと思います。

 

P.S.

橋本治エリザベス・テーラーは『われを崇めよ』という感じだよね?」という言葉は、もうどんぴしゃり!!彼女は8回くらい結婚してますしね。(おんなじ人とも離婚、結婚を繰り返したり、、)

でも、美しいすみれ色の瞳をもつ彼女は、子役から若草物語、日の当たる場所なんかでがんばっていたし、素敵だから憎めません!!

 

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